化粧品を作る仕事の経験者が解説!現場の真実:3つの「楽」

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化粧品を作る仕事の経験者が解説!現場の真実:3つの「楽」

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なぜ、いい加減な性格の私が、化粧品工場で長く働き続けられたのか?

それは、化粧品の中身を作る仕事が自分にあっていたからです。

  • 最初は単純作業が多く、自分の役割がわかりやすかった。
  • 仕事のポイントが理解しやすく、努力すれば伸びた。
  • コミュニケーションの必要性が少なかった。
  • 達成感が得やすく、楽しく感じた。

体力勝負ではありますが、精神的には「楽」な仕事です。もちろん、合う、合わないはあるでしょうが、ぜひ、化粧品を作る仕事のリアルな魅力を知って、

これって、自分にも合う仕事だな…

感じたのであれば、あなたがやりたい仕事の候補に、加えるべきです。

自己紹介させて頂きます。コテツと申します。

化粧品工場での25年以上の勤務経験があり、その中でも中小規模の工場での豊富な経験を持っています。工場長としても活躍し、この業界の魅力や仕事の流れを、多く学び取ってきました。

化粧品工場で働くことは難しいことではありません。テレビCMで名を聞く大手企業の工場はごく一部であり、日本に存在する多くは中小規模の化粧品工場です。

あなたが未経験者であっても、活躍する機会がたくさんあることをお伝えしていきます。

サポート役として、以前に同じ職場で働いていた妻が登場します。

妻

妻です。よろしくお願いします。

さぁ、化粧品を作る現場に入っていきましょう。

同じ業界出身アドバイザーに相談

化粧品工場全体の仕事内容

化粧品工場の仕事は、工場によって異なります。

しかし、基本的な体制は以下の通りです。各部門で業務を分担しています。

仕事の流れ関連部門業務内容
注文を受ける
生産計画を立てる 生産管理希望納期、必要資材の状況などを確認しながら計画を調整する
原料の手配原料管理バルク製造に必要な原料の手配
充填包装資材の手配資材管理充填包装に必要な資材の手配
原料、資材の検査品質管理原料、資材の受け入れ検査
バルク製造作業 バルク製造原料を調合し化粧品の中身を作る
バルク検査品質管理化粧品の中身の検査
充填・包装作業充填・包装化粧品の中身を容器に充填、
箱などに詰め製品として完成
製品の検査品質管理製品の検査
注文先に製品を納める入出庫納品日時、場所などを確認し製品出荷

化粧品を作る仕事の手順

この記事では、「バルク製造」と呼ばれる、化粧品の中身を作る仕事について、私の経験をもとに説明します。

なお、「バルク製造」の大まかな工程を、以下の表にまとめていますので、ご参照ください。

化粧品の中身を作る手順内容
秤量必要原料を、指示された数量で計る
次の工程から装置を使用
原料投入「秤量」した原料を指示された手順で装置に投入する
加熱・溶解混合しながら加熱
原料の特性により投入タイミングに変化あり
溶解の状態を確認する
冷却加熱溶解後に冷却
製品によって冷却スピードに指示あり
香料・エキス類・投入高温に弱い原料などを冷却途中にて投入
香料は界面活性剤に混合する場合あり
取り出し出来上がった化粧品の中身をタンク類に排出
妻

全ての化粧品の作り方ではありません。
しかし、「基礎化粧品」や「ヘアケア商品」など、ほとんどが、この工程に当てはまります。

原料を計る仕事が楽な理由

働き始めた最初の頃は、いきなり装置を使用して化粧品を作る仕事を任されることはないでしょう。

新人の頃の私は、「秤量」という原料を計る担当でした。

はっきりいって難しい工程はなく、ただ原料を計るだけです。

ただし、体力的にはきついこともあります。

計る原料は一斗缶や袋など、18~20Kgの重さのものが多かったです。それを黙々と指示された数量で計るので腕や腰が痛くなることもありました。

ただし、何をするか迷ったり、困ったりすることは少なく、黙々と作業をしていました。

当時の私としては、例え体力的にきついとしても、自分の役割がはっきりとしていて、単純な作業を繰り返すことは、楽な内容だったのです。

同僚と差をつける方法

黙々と秤量する日々の中で、同僚と差をつける方法を考えました。

そのうちに装置を使って化粧品を作ることを任されるわけですが、上長は「次は油を入れる」とか「水溶性原料を装置に入れる」などと指示を与えて化粧品の作り方を教えます。

どれが「油」の分類の原料かわからないので、新人たちは戸惑うわけです。

そこで、今のうちに原料の分類を理解してしまえば、装置を使う仕事も「楽」になるだろうと考え、原料について意識するようにしました。

化粧品原料を分類するといっても、この程度の分類の仕方で最初は問題ありません。

  • 油に溶ける
  • 水に溶ける
  • 界面活性剤類
  • 香料類
  • エキス類

難しいと感じるかもしれませんが、そうでもありません。

「秤量」には「秤量指図」と呼ばれる、原料の種類と、その数量の指示が出ます。

ここでは、仮の「秤量指図票」を作りました。

○○○クリーム作る量100Kg
原料名配合量
オリーブオイル5.0Kg
ヒマワリ油4.0Kg
ゴマ油3.0Kg
ワセリン2.0Kg
界面活性剤の原料3.0Kg
70.25Kg
グリセリン5.0Kg
1.3ブチレングリコール4.0Kg
プロピレングリコール3.0Kg
キサンタンガム0.2Kg
バラエキス0.5Kg
香料0.05Kg
合計100.0Kg

あくまでも説明用に作ったものです。

工場により違いはありますが、装置に投入する順番で、「秤量指図書」内の原料は並んでいることが多いです。

そして、原料を分類した状態で装置へ投入することが多いです。例えば、最初に「油に溶けるもの」を装置に入れて、次に「水に溶けるもの」を入れるなどです。

先ほどの表に、なにに溶けるかなどで分類してみます。

○○○クリーム作る量100Kg原料の分類
原料名配合量
オリーブオイル5.0Kg油溶性の原料
ヒマワリ油4.0Kg油溶性の原料
ゴマ油3.0Kg油溶性の原料
ワセリン2.0Kg油溶性の原料
界面活性剤の原料3.0Kg油溶性の界面活性剤
精製水70.25Kg
グリセリン5.0Kg水溶性の原料
1.3ブチレングリコール4.0Kg水溶性の原料
プロピレングリコール3.0Kg水溶性の原料
キサンタンガム0.2Kg水溶性の原料
バラエキス0.5%水溶性のエキス
バラの香りオイル0.05%油溶性の香料
合計100.0Kg

このような感じになるわけです。

事前に「秤量指図票」の中に書かれた原料が、「油に溶けるもの」「水に溶けるもの」「界面活性剤」「香料」「エキス類」などであることを理解することは、さほど難しくはありません。

装置を使って化粧品を作ることを任された場合、「原料の分類」が理解できれば、作る過程をシミュレーションできます。

これを意識するとしないとでは、知識や技術面で大きな差が出ることは間違いありません。

分類がわからなければ、上長などに質問すればいいだけです。1カ月もすれば、大半は理解できてしまいます。

これを理解するだけで、無意識のうちに化粧品を作るシミュレーションをするようになります。

その結果、仕事が楽になります。

妻

あたりまえですが、油に水は溶けないわけです。ですから、溶けるもの同士で分類されます。
そして、高温、低温などの装置に入れるタイミングで分けることも多いです。
その分類がわかれば、作り方は理解できてしまいますね。

少ない人間関係で働く

まったくストレスのない仕事はありません。体の負担でもストレスは発生します。

しかし、化粧品原料や化粧品を作る装置と向き合うことが多かったので、精神的にきついようなことは、あの当時ほとんどありませんでした。

人との関りが少ない仕事

なにより人とのかかわりが少ないことが楽でした。

化粧品工場の全体で考えても、工場の外部と接触することは少ない仕事です。

そして、工場内での人との接触ですら、化粧品を作る担当者は少ない状況でした。

化粧品を作る室内を「バルク製造室」と呼んでいましたが、その室内から出て仕事をすることはほとんどありません。

もちろん、部門のリーダーなどの立場であれば状況も違いますが、作業者は製造室内で原料を計り、装置を使用して化粧品を作り、関連する書類の作成や、パソコンなどへの入力業務も、すべてこなせる環境でした。

ライン作業を担当すれば、何十人というパートスタッフと関わります。品質管理の担当なら、他の部署を回りながら品質を確認していかなければなりません。

化粧品を作る仕事は、私の経験では、昼飯を食べる以外はほとんどバルク製造室内で過ごしていました。

他部門との接触もなく、事務所に顔を出すこともほとんどなく、朝礼以外で工場長の顔を見ていない。などは普通でした。

人とのかかわりを気にせず、黙々と化粧品を作る。

職人的な感覚の仕事が合う人は、化粧品を作る仕事も合うかと感じます。

妻

化粧品工場で担当する仕事の種類は多くありますが、化粧品を作る仕事は、人との接触は少ないでしょう。

しかし、工場の規模や扱う種類によっては、他部門との連携が多くなることもあります。

化粧品を作る仕事以外の担当も気になる方は、化粧品工場の全体の仕事を説明した記事をご参照ください⇩

化粧品を作る楽しさ

ある程度の経験を積んで装置を扱い、化粧品を作るようになります。

よく言われることですが、化粧品を作ることは料理に近いです。

しっかりと前準備をして、手順を頭に入れ、手際よくやることが重要です。

また、作る量や使用する原料の種類が変わると、それに合わせて工程時間も調整する必要があります。

ですから、担当する作業者によって「上手い」「下手」は存在します。

自分がうまく出来ると、それは「楽しく」なります。そして、どうやってよりうまく作るかを追求していきます。

知識と技術を合わせるパズル

化粧品を作る仕事が「楽しい」のは日々の仕事で身につけた技術と新しく得た知識が組み合わさって答えが出るからです。

例えば、

  • いつもと同じように作ったクリームが、今回は油っぽい匂いがする。

もし、天然の植物油は熱に弱いという知識があれば、

  • 加熱の工程で少し温度が高かった。

という答えが出ます。

  • 何故かクリームが、いつもより黄色みがかっている。

ビタミンは熱に弱く、高い温度では変色を起こすと知っていれば、

  • もう少し低い温度で添加する必要があった。

という答えが出るわけです。

もちろん、間違った判断をすることもあります。しかし、ミスして落ち込んでも、判断が正しかったと喜んでも、どちらも「経験」になります。

その「経験」が化粧品を作る楽しさを育てていくのです。

その経験を積むのに「遅い」ということはありません。そして未経験でも、すでに身につけている「経験」が役に立つことは多くあります。

悩んで新たな可能性に一歩踏み出せないというのなら、アドバイザーに相談しましょう。あなたの可能性を広げ、勇気をくれます。

同じ業界出身アドバイザーだから、あなたの強みがわかる

新商品での役割と研究との協力体制

私が働いているのは中小規模の化粧品工場です。

大手の工場と比べると担当する仕事の幅が広いことが特徴です。

一部の工場では新商品の製造は研究や製造技術などが指示し、化粧品を作る担当は装置を操作することに専念します。

しかし、私の勤める工場では「製造技術」などの担当は存在せず、新商品の製造は研究との共同作業によるものでした。

確かに研究が試作し開発した化粧品ではありますが、彼らが作成するのはビーカーなどの少量だけです。

それが数百キロ、時には数トンの量を扱う大規模な製造に移ると、研究の担当者だけでは装置の中で何が起きているか、正確な判断はできません。

例えば、クリームに色付けするために少量の色素を添加した後で「あと10分混合したら、装置を止めましょう」と研究員が指示するとします。

しかし、作る量やクリームの固さによっては、10分では混ざりきらないこともあります。

これは研究員だけでは判断できないことです。化粧品を作る担当者である私たちだけが、装置の中でどこまで色素が混ざっていくのかを予想できるのです。

新商品の化粧品を作るときは、研究と化粧品を作る担当がタッグを組みます。お互いの経験と知識に依存し、協力して良い製品を作り上げます。

このように、化粧品を作り続けると、知識や技術が身につき幅広い仕事ができるようになります。

それは「自信」となり「楽しさ」となるのです。

妻

工場に研究施設があればよいのですが、工場は地方にあり、研究施設は都内にあるパターンも少なくありません。
研究施設は得意先であるお客に近い方がレスポンスがいいからです。
研究が工場に顔を出しにくい事情があれば、化粧品を作る担当が、より研究と連絡を取り合う必要があるわね。

化粧品を作る楽しさと成長

最初は1人で黙々とやることが「楽」だと感じていました。

しかし、化粧品を作る楽しみを味わうようになり、自然と身につけた「技術」と、意識して学んだ「知識」が役立つようになりました。そして、時には違う知識や技術を持った人とタッグを組み、新しいものを作り出すことができるようになりました。

これはとても楽しい経験です。

それによって、私自身が成長できることを実感し、そのような瞬間が増えてきました。

私が仕事を始めた当初と比べて、想像もつかないほど「楽しい」ことがたくさんあるのです。

化粧品を作る仕事、私の経験と教訓

私が長く化粧品を作る仕事を続けられた理由と、楽しくなっていく過程を説明いたしました。

これまでに述べてきた私の経験を通じて、化粧品を作る仕事がどのようなもので、どのような魅力があるのかを伝えられたら幸いです。

私がたまたま化粧品を作る仕事でスタートを切り、長い間化粧品工場で働くことになりましたが、人それぞれに、そのスタート地点は異なることでしょう。

しかし、この記事をここまで読んでいただいた方は、化粧品を作る仕事に興味を持っているかと思います。

ぜひチャレンジしてみてください。

たとえまったく違う業種からの転職であっても、戸惑う必要はありません。頑張りましょう。

他業種などの未経験からの化粧品工場への転職を説明した記事です。興味のある方はご参照ください⇩

自分に合ってる仕事に就く

化粧品工場で働くことは、一見難しそうに感じるかもしれません。

大手企業である資生堂やコーセーでは、経験や学歴が必要とされる場合もあるでしょう。

しかし、中小規模のOEMメーカーを含め、日本全国には数多くの化粧品工場が存在しています。

あなたが選ぶことのできる化粧品工場の候補は、驚くほど多いはずです。

この記事が、あなたが新たな一歩を踏み出す助けとなることを願っています。

妻

私も応援いたします。良い仕事に出会ってください。

仕事探しは、あなたを理解するアドバイザーと一緒に

今度は化粧品の仕事で係わるかもしれませんね。

ではまた、その日まで。