【化粧品工場で働く知識】化粧品の全成分表示のルールを解説

【PR】この記事には広告を含む場合があります。

【化粧品工場で働く知識】化粧品の全成分表示のルールを解説

【PR】この記事には広告を含む場合があります。

化粧品の「全成分表示」とは何でしょうか。

化粧品に入っているすべての「成分」を、容器や箱などに表示する義務のことです。

2001年の4月、薬事法の改正により全成分表示が義務となりました。消費者も配合内容の確認ができることで、より化粧品を安全に使えるのが目的です。

化粧品全てに表示成分の記載はあります。ドラッグストアーで化粧品を手に取ると、裏面や容器の底などに全成分表示があることを確認できるはずです。

この記事は、これから化粧品の仕事に就きたいと考える方に向けたものです。

全成分表示の要点となるルールや、勘違いしやすい基礎的な内容だけでまとめました。

自己紹介させて頂きます。
コテツと申します。
中小規模の化粧品工場に25年以上の勤務経験があります。
そして、工場長として多くの人を指導する中で貴重な経験を積んできました。
この体験をもとに、化粧品工場のことをお伝えしたいと思っています。

さぁ、5~6分で理解してしまいましょう。

全成分表示の成分とは、原料ではない

意外と勘違いする人が多いのですが、全成分表示の「成分の名称」とは「原料名」ではありません。

化粧品工場が使用する原料の種類は、数百から数千種類となります。

その原料に表示してある名称は、「成分」の名称ではありません。

あくまでも例えですが、ケーキに使用する原料にチョコレートがあるとします。

原料は「チョコレート」ですが、成分の名称は「カカオ」であると考えて下さい。
※説明用の例えであり化粧品原料や成分の名称としての実例ではありません。

まとめ

  • 「全成分表示」の成分の名称は、実際に化粧品を作るときに使用している原料名ではない。

1つの化粧品原料に1つの成分とは限らない

そして全成分表示の成分は、1つの「原料」に「成分」が1つではありません。

1つの原料で複数の「成分」であることも普通にあります。

1つの原料に1つの成分名称の場合

原料名: ヒアルロン酸〇〇〇(粉末)

成分名称: ヒアルロン酸Na

1つの原料に3つの成分名称の場合

原料名: ヒアルロン酸〇〇〇1%水溶液

成分名称: , ヒアルロン酸, フェノキシエタノール

成分として単体の原料であったり、混合された複数の成分の原料であるなど、使用する原料が1つに対して、成分の数も1つではないのです。

ですから、3つの原料で化粧品を作っても、全成分表示は10個の成分が表示されることもあります。

化粧品を作るのに使用した原料ではなく、使用した原料すべてに含まれる「成分」を表示するのが、「全成分表示」です。

まとめ

  • 1つの原料に成分が1つとは限らない。1つの原料に複数の成分もある。

覚えておきましょう。

化粧品の全成分、表示する順番のルール

化粧品の全成分表示は、配合の多いものから順に表示するのがルールです。

説明するために架空のローション処方を作りました。

○○ローション(化粧品)
原料名配合量(%)
82.0
グリセリン5.0
マルチトール2.0
BG7.0
キサンタンガム0.4
ペンチレングリコール3.0
PEG-60 水添ヒマシ油0.3
ヒアルロン酸Na0.2
バラエキス0.1
合計100.0

この場合、配合の多い順とすると、このような順番となります。

○○ローション(化粧品) 全成分表示

水, BG, グリセリン, ペンチレングリコール, マルチトール, キサンタンガム, PEG-60 水添ヒマシ油, ヒアルロン酸Na, バラエキス

全成分表示は多いものから順に表示しますが、1%以下の配合に関しては順不同となります。

1%以下であれば、どのような順番でもよいというルールです。1%で配合したものより、0.1%で配合したものを先に持ってくることも可能です

商品として「バラエキス」が多く入っているイメージを強くしたいなら、1%以下の並びの最初に「バラエキス」を持ってくるわけです。

○○ローション(化粧品) 全成分表示

水, BG, グリセリン, ペンチレングリコール, マルチトール, バラエキス, キサンタンガム, PEG-60 水添ヒマシ油, ヒアルロン酸Na,

ズルく感じるかもしれませんが、販売戦略として全成分表示の順番はルールに違反しなければ、入れ替えることがほとんどです。

私が並べるならば、1%以下をこのようにします。

○○ローション(化粧品) 全成分表示

水, BG, グリセリン, ペンチレングリコール, マルチトール, バラエキス, ヒアルロン酸Na, キサンタンガム, PEG-60 水添ヒマシ油

「バラエキス」や「ヒアルロン酸Na」は多く配合しているイメージとします。界面活性剤である「PEG-60 水添ヒマシ油」は、少量のイメージとして最後とします。

販売会社は商品イメージを重視するために、1%以下の入れ替えにこだわるわけです。

まとめ

  • 化粧品の全成分表示は、配合量の多い順に表示。しかし、1%以下の成分に関しては順不同でよい。

覚えておきましょう。

化粧品とルールが異なる「医薬部外品」

今までご説明させていただいたのは「化粧品」の内容です。

そして「医薬部外品」であると、基本形は一緒ですが、微妙にルールが異なります。

医薬部外品の全成分表示が化粧品と違う

不思議に感じると思いますが、化粧品と違い「医薬部外品」の全成分表示に法的な義務はありません。

ただし、店頭に並んでいるほとんどの「医薬部外品」の商品が成分を表示しています。

あくまでも「医薬部外品」の全成分表示は「任意」でありますが、化粧品業界の事情などで、ほとんどの医薬部外品の商品が全成分を表示していると考えましょう。

医薬部外品は表示の順番にルールはない

化粧品は、配合の多いものから順に成分を表示するルールでしたが、「医薬部外品」では適用されません。

表示する成分全てが「順不同」となり、医薬部外品の全成分表示は、どのような順番でも問題ありません。

医薬部外品は表示内容に「有効成分」を示す必要がある

医薬部外品とは効能効果が期待できる成分が配合されています。その効能効果が期待できる成分を「有効成分」といいます。

その「有効成分」を全成分表示の中のどの成分であるか、示す必要があります。

「化粧品」と「医薬部外品」の違いとはなんであるか、「医薬部外品」の特徴や「有効成分」とはどのようなものであるか、確認したい方は、この記事をご参照ください⇩

まとめ

  • 医薬部外品は化粧品と異なり全成分表示は義務ではない。
  • 全成分表示は義務ではないが、ほとんどの商品が実施している。
  • 化粧品と違い、成分の表示は順不同でよい。
  • 有効成分をわかりやすく表示する必要がある。

化粧品との違いを理解しておきましょう。

化粧品工場で働くなら必要な知識

化粧品と医薬部外品の全成分表示につきご説明いたしました。

これから化粧品工場、もしくは化粧品に関連した仕事に就きたいと考えている方には、知らないわけにはいかない基礎的な知識です。

この記事を理解しておけば、誰かに質問されたり、説明する必要があったとしても問題ないはずです。

化粧品工場で働くことを意識して知識を蓄えている方もいるかと思います。

化粧品工場ではどのような仕事があり、どのような仕事なら担当したいと思えるのか、化粧品工場の業務内容などを解説した記事がありますので、是非ご参照ください⇩

化粧品工場で働く準備をする

化粧品工場の仕事に興味があり転職を考えているなら、情報収集から始めましょう。

当サイトは化粧品工場に関する基礎知識や、私が勤務した工場での事例を多く提供しています。自分がチャレンジすべき仕事であるのか、多くの情報から確認しましょう。

そして、転職する決意と、やりたい仕事が明確であるのなら、おススメするのは転職エージェントです。

求人サイトで仕事を探すにしても1社だけで決断してしまうのは危険です。数社を比較して、自分に合う仕事を見つける必要があります。

そして、働く候補である工場は、工場見学することを強くおススメします。

働く人や環境を確認しておくことは非常に重要です。例え化粧品工場の見学が初めてだとしても、その工場が自分にとって働きやすい職場になるかの、判断材料になります。

これらの活動(複数の会社の比較や工場見学など)を自分で求人サイトから実行していくのは難しいと感じるでしょう。

転職エージェントであれば、希望条件に基づいて職場を探し、工場見学の希望を伝えたり給与交渉なども代行します。

最初に飛び込む勇気が必要かと思いますが、無料ですし、途中で断ることも簡単です。

転職を成功させるために、勇気をもって進みましょう。

難しくはない化粧品工場への転職

化粧品工場への転職は、想像しているよりも難しいものではないと言えます。

大手化粧品メーカーである資生堂やコーセーは一定の学歴や経験を求めることがありますが、中小規模の受託メーカーも含め、日本国内には数千の化粧品工場が存在します。多くの工場では、幅広い職種での正社員としての雇用の機会があります。

自分に合う仕事と感じ、魅力を感じるのであれば、転職に対して勇気を持って一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。頑張ってみる価値はあると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。